文化と芸術にあふれる環境で育った私にとって、文化とビジネスは常に結びついているもので、クリエイティブな人々をサポートすることは自然な使命と感じていました。とはいえ私は国立図書館(BnF)で本を読み漁るタイプで、自ら行動にうつすタイプではありませんでした。そんな中、ある転機が訪れます。
1990年代の終わり、事故に遭った際に中国の医師と出会い、彼に治療してもらう中で、中国医学の何千年もの歴史や文化、エネルギー、哲学に触れ、そしてその医師から言われた「アジアは大海だ。君が読んで知っているのは、海のほんの数滴にすぎない。行って感じてみなさい」という言葉が、私の人生を変えました。
北京や上海など周辺の国々を旅し、その後2007年に北京に移住、それから上海へ。そして2020年初めに日本を訪れます。しかし、そこで困難に直面しました。コロナ禍で私がいた京都にも緊急事態宣言が出されたのです。金閣寺の近く、誰もいないカフェで働くという観光客の消えた街での体験は、まるで時間が止まったような、貴重な不思議な経験でした。
そんな経験を経て、私は今、創造的な人々、素材、職人技を支援することに情熱を注いでいます。アジアに触れて感動したのは、文化の違いを超えた共通点、素材や動作への敬意、文化遺産を大切にする心、そして深い職人への愛でした。アジアの文化には、生命の哲学に根ざした美学があり、それは長い歴史と循環の中で育まれたものと思われます。自然との直接的なつながり、身体と感覚を通して世界を受け入れる姿勢が、今なお息づいていて、アジアは私に「理解する」ことではなく、「感じる」ことを教えてくれました。東洋、西洋の芸術史や分類の枠を超えて、彼らは「分ける」のではなく「つなげる」文化を持っている。美とは「全体」を体験すること、そう思います。
私はデザインとインテリア建築の分野における素材、技術、創造性を探求する雑誌『FORMÆ』(フォルマエ)で、<イノベーション>部門のキュレーターを創刊号から務めています。創造的なプロセスにおける「素材」の役割を深く掘り下げ、視覚的、知的、技術的な観点から新たな視座を提供し、デザイン、建築、文化遺産といった分野において、素材がいかに創造を左右するかを自由に探求し、テーマを選んで記事を執筆しています。
私が関心を持っているのは、「古いものから新しいものを生み出すこと」、そしてステレオタイプを避け、各文化がデザインに与える異なる視点を際立たせることです。その仕事に携わる中で、Paris KUMIと知り合いました。
Paris KUMIには、パリの「日本」シーンの中でも非常にユニークで、洗練されたセンスを感じます。
職人技とイノベーションの境界にあるような素材が多く、どれも一味違う「何か」がある。パリで「ありがちな日本」ではなく、ステレオタイプを超えた新しい日本の姿を見せてくれるところが魅力的です。特に産業的な印象のある素材や、家族経営の企業が新しい分野に挑戦しているストーリーに惹かれます。Paris KUMIで出会うものは、すべてが新鮮で、これまで見たことのないものばかりです。
たとえば「URCYL」というプラスチックの一種と同じ物性を持つ天然新素材。再生可能な唯一の素材から作られており、このリジェネラティブ(再生的)トレンドを象徴しています。手仕事の技術と生産を組み合わせ、環境への影響を最小限にしながら再生の力を持ち、持続可能性、革新性、環境への配慮を兼ね備えた循環型経済を築くものとして、とても注目しています。このような新しい素材との出会いは、心からワクワクします。
Paris KUMIには、作り手や職人への深い敬意と情熱を感じますし、サービスの質も「日本式」の丁寧さと正確さがありつつ、フランス的な親しみやすさと温かさがあります。
Paris KUMIが主催するイベントも、発見と出会いの場として魅力的。毎回楽しみにしています。