海外進出エージェント

INTERVIEW パリ・イルドフランス商工会議所
日仏経済交流委員会CEFJ
代表 富永典子 様

フランス 日仏経済交流委員会CEFJ
【パリ・イルドフランス商工会議所】 www.cefj.org

産業セクターの壁を超えた日仏交流。そこから始まる大きな夢を追いかけて。

CEFJ 富永典子代表
いわば <日仏ビジネス・クラブ>。ヒューマン・サイズの交流活動を展開。

フランスにおける日本のビジネス界との交流を活発化したいという意向により1997年にパリ・イルドフランス商工会議所によって創立されたCEFJ(日仏経済交流委員会)。私がここでキャリアをスタートさせたのは、日産自動車社長カルロス・ゴーン氏の秘書室課長をつとめた後、渡仏した2004年の暮れでした。

きっかけは、パリ文化会館の初代館長だった磯村尚徳氏からの「働かざる者食うべからず」の言葉。当時渡仏したばかりでまだ仕事に就いていなかった私は、確かにと発奮。現在の職をご紹介くださったのです。

このポジションでは、大企業からスタートアップ企業まで、産業セクターを問わず、様々な分野の方々にお会いすることができることが特徴のひとつです。フランスでのキャリアは20年目となりますが、当初よりも在仏の日本企業のトップにフランス人が就任する確率が高くなってきたと感じます。それだけ日本に対する理解が深まってきたこと、そして二国間での意思の疎通、信頼関係が確立してきたのだと嬉しく思います。

こういった状況に貢献すべく、経済、社会問題、文化をテーマにしたフォーラム、ウェブセミナー、講演会を通じて企業の相違や物事の読み取り方のウェビナー、日仏共通の関心事をフォローするなど、日々、ビジネス展開のヒントや鍵になるコミュニケーション促進を行なっています。私どもが日仏企業の課題を汲み取って、率先して解決策を提供していくことを心がけていますが、いつもそれが本当にできているのかどうか、常に自問自答しています。

2021年コロナ明けのガラパーティーで、パリ組との初対面。

パリ組さんと初めてお会いしたのは、コロナ明けの宣言をソロソロ始めようとしているころで、皆さんが直接交流の再開を、遠慮しながらも心待ちにしていたころ、2021年秋の当委員会主催の100人限定のガラパーティーの会場でした。当時の在仏日本大使、伊原大使もご出席くださり大盛況で、私どももパリ組さんをはじめ、コロナ明けで久しぶりに会員の方々を対面でお迎えすることができ、とても嬉しく思いました。

パリ組さんについて、ビジネスを通じて思うことは、取り組みの姿勢や人との接し方に、常に真摯さを感じるということです。特に、地方自治体案件 福井県の欧州販路開拓プロジェクトの際での、作り手の方々や、地方の思いに寄り添う真摯な取り組み、そして、日本ではあまり重要視されることが少ないのですが、フランスで販路開拓していく上で必須である検証結果のエビデンスを創り上げていく妥協しない姿勢が印象的でした。

パリ組さんとの交流がきっかけで、福井県に興味が湧き、眼鏡の産地である鯖江市のことなどをフランス人の知人と話し、その中でフランスの眼鏡業界にも、MOF (Meilleur Ouvrier de France)国家最優秀職人章が存在することを知り、品質サービス共に納得して眼鏡を購入した体験がありました。
それに続き昨年東京で行われた日仏経済界のガラパーティでは、福井県の方ともお話しをする良い機会を持つことができました。

未来につながる、日仏コラボレーション構築を目指したい。

私どもCEFJは、「様々な業種から成る団体」で、会員の方々が企画から参加することができることです。

この特徴を生かし、今後、さらに注目していきたいのは、あらゆる分野でイノベーション推進する起業家たちと、アルティザナ(工芸)の相互に有益な関係を築くことです。何世紀にわたり育まれた工芸の世界、フランスでは、それを土台に発展し続けるLVMH、HERMES、CHANELらが代表するいわゆる高級産業と呼ばれるもの、そして、日本では、日本各地に広がる職人産業があります。

しかしながら日本では、フランスのように支援してくれるGrandes Maisons(グラン・メゾン)が存在しません。
後継者問題や需要縮小で消滅していく傾向がある。ですから、この両国が手を取り、コラボ構築が更に活発化し、興味深い作品やビジネスが誕生していくことを目指します。
例えば、LVMHやKERINGと西陣のHOSOOのコラボ、またAUBUSSONのタピスリとSTUDIO GHIBLIのコラボは代表的なもの。また、2023年秋、日本で行われた日経日仏経済フォーラムでは、CHANELの19Mとの協力が取り上げられました。こうしたことをもっと推進していきたいと考えております。

また、昨年1月、CEFJオンライン:マスタークラスで、「日仏における循環経済(サーキュラーエコノミー)モデルとテクノロジー、相互協力の可能性を探る」というテーマで、パリ組代表にもスピーカーとして参加していただきました。以前パリ組さんのショールームで出会い大変興味深かった岡山県の廃材生地のインテリア素材 NUNOUS。(nunous.jp)この商品の欧州展開の取り組みを発表していただき、大変好評でした。

こうして産業のセクターの壁を超えて、会員の方々が繋がっていくことは、私たちの喜びです。そしてその活躍の舞台を創り上げていくことが私たちの使命。演者が能力を発揮できる大舞台を、しっかりとサポートさせて頂きたいと思います。